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リニューアブル・ジャパンと共にグリーンボンド市場の拡大に貢献

成熟する日本のグリーンボンド市場において、バークレイズは再生可能エネルギー事業の大手であるリニューアブル・ジャパンとパートナーシップを組み、2017年からの約3年半で800億円(5億2千万ポンド)以上の再生可能エネルギープロジェクトボンドの発行をアレンジしました。

2021年8月20日

約10年前までは、日本では世界各国と比較して再生可能エネルギーが長期的な戦略的機会のある市場として認識されていませんでした。約5年前、リニューアブル・ジャパン株式会社がバークレイズに14.5メガワット(MW)の再生可能エネルギープロジェクトボンド発行の支援を依頼した際には、日本の再生可能エネルギーのグリーンボンド市場には、ほとんどプレーヤーがいませんでした。

リニューアブル・ジャパン代表取締役社長の眞邉勝仁氏は、「私たちは、複数の大規模な開発を進める上で資金調達を確実なものとする新たな調達手段、ならびに海外で行われているような開発から管理運営を一体化させた当社のビジネスモデルを日本の金融市場に伝えてくれるパートナーを求めていました」と語ります。「2017年当時、日本国内でプロジェクトボンドによる資金調達スキームの事例はごくわずかしかありませんでした。『米国やヨーロッパで行われているようなプロジェクトボンド市場を開拓してほしい。』バークレイズであればこの黎明期でも確実に結果をもたらしてくれると信じ、アレンジを依頼しました」

2017年以降バークレイズは、リニューアブル・ジャパンの再生可能エネルギー発電所建設のためのグリーンプロジェクトボンド発行を支援し、2019年初めの3件目の案件では北海道に国内最大級の22MWのメガソーラープロジェクトを開発するために89億円を調達。このプロジェクトボンドは株式会社格付投資情報センター(R&I)の「グリーンボンド評価」で最高位の評価を獲得し、日本で初めてグリーンボンドとして格付機関より認定されたプロジェクトボンドとなりました。

これを含めて2019年には合計4つのプロジェクトボンドを組成し、この年にバークレイズは日本のメガソーラープロジェクトボンドのアレンジャーとしてトップに立ちました(*1)

バークレイズ証券の投資銀行部門ストラクチャード・ファイナンス部長の上田輝久は、「日本で再生可能エネルギー分野に投資家を呼び込むのは、とても時間のかかることでした。プロジェクトボンドの案件を着実に増やしながら、投資家への啓蒙、プロジェクトボンドの普及拡大に力を注ぎました」と語ります。

バークレイズは、投資家に適切な情報を提供するため、リニューアブル・ジャパンとともに現地調査に多くの時間を費やし、EPC(設計・調達・建設)など開発の仕組みを入念に把握することに努めました。また、プロジェクトを通じて建設会社、造成会社、各コンサルタント、資源エネルギー庁や経済産業省等の行政機関とのつながりが生まれました。

日本におけるグリーンボンドの新時代

世界全体が2050年までの脱炭素化に向けて動き出す中、その実現には再生可能エネルギーの主力電源化は避けて通れません。日本では利用可能な土地が限られていることを踏まえると、これまで通りのやり方では期限までに再生可能エネルギーの導入目標を達成させることはできません。事業者がより一層事業規模、スピードを最大化させていく中、プロジェクトボンド市場も発行規模の拡大、起債スピードの加速化に加え、様々なアセットタイプに対応できるように進化していくことが求められます。

「今後、事業者も集約され、様々な競争の中でより一層専門性が求められていきます。海外の知見、日本で培った経験を生かし、ボンド市場をリードしていきたいと思います」と上田は述べています。

昨年、日本のグリーンボンド市場は約30%成長して106億米ドルとなり、2020年の国別ランキングではスウェーデン、オランダなどに続いて第7位となりました(*2)

「これまでの飛躍的な発展は喜ばしいことですが、日本のグリーンファイナンスはまだ十分な成長余地があります。私たちは、お客様の資金調達ニーズに対し、より幅広い多様なリソースを提供しながら、新しい挑戦をし続けることが重要だと考えています」と上田は語りました。

リニューアブル・ジャパンにとって、バークレイズとのパートナーシップは、再生可能エネルギー事業を拡大するための資金調達手段として不可欠なものとなっています。リニューアブル・ジャパンが手がけ、バークレイズが資金調達を実施した再生可能エネルギープロジェクトの2020年の発電量はおよそ241,296,355kWhとなり、これは52,251世帯の年間の消費電力に相当します。

「当社の事業の規模やスピードを最大化させるためには、必要な事業資金を短期に確実に調達しなければなりません。バークレイズのグリーンファイナンスへの積極的な取組みを基に、これまでの多くのプロジェクトで培ったパートナーシップを継続し、今後も協力して日本や広く世界で起こっている気候変動に関連した広範な社会的問題に対処していくことができると確信しています」と眞邉氏は語りました。

(*1) バークレイズおよび日本証券業協会(JSDA)のデータによる
(*2) 出典: Climate Bonds Initiative, March 2021

 

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