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日本の富裕層の嗜好品資産:一番人気は貴金属 -バークレイズが調査

2012年6月12日

【2012年6月12日、東京】 バークレイズでは世界の富裕層を対象に調査を行い、その結果、日本人の回答者の間で最も人気が高い嗜好品資産は貴金属(回答者のうち49%が保有)であることが判明しました。この49%という割合は、中国(回答者の86%)、サウジアラビア(同55%)に次ぐ世界第3位となっています。貴金属に次いで人気が高いのは宝飾品(36%)と絵画(34%)です。また、切手をコレクションしていると答えた日本人富裕層の割合は24%と、シンガポールの25%と僅差で第2位にランクインしています。

本日発表したレポート「Profit or Pleasure? Exploring the motivations behind treasure trends(「お金儲け?それとも楽しみ?嗜好品資産の保有トレンドに隠された動機を探る」)」ではこうした嗜好品への投資の世界的な動向を詳しく調査しており、富裕層が美術品などの嗜好品的な資産を所有する動機についても投資と心理の両面から明らかにしています。嗜好品資産は、絵画、彫刻、アンティーク家具、宝飾品、貴金属、クラシックカー、ワインなどです。調査は、世界の2,000人の富裕層を対象に行われ、日本からはうち100人が回答しています。

バークレイズのウェルス・アンド・インベストメント部門日本担当責任者であるセドリック・リズィン(Cedric Lizin)は次のように述べています。「同アンケート調査によれば、60%近い日本の富裕層が分散投資の有用性を認めています。伝統的に貴金属は金融市場の乱高下する時にでも値動きか安定している資産とされており、日本国内の富裕層が最も好んで所有するのが貴金属である理由はこの点にあるのかもしれません」。

日本の富裕層は純資産の平均9%を嗜好品資産の形で保有していることが判りました。この比率は世界平均の約10%と概ね同水準です。純資産に占める嗜好品資産の比率が最も高いのはアラブ首長国連邦(UAE)の18%で、これに対し、英国は7%、インドは3%、カタールでは2%と、比率は低めです。世界の回答者の3分の1が嗜好品型資産の保有が5年前より増えていると回答しました。

嗜好品投資の動向

嗜好品資産の人気に影響を及ぼす要因は、投資家の年齢から自国経済の安定度合いまで多岐にわたります。嗜好品投資の中でも、宝飾品の人気が群を抜いて高いという傾向は大半の国に共通しており、回答者の70%が宝飾品に投資しています。これに美術品(49%)、骨董品(37%)と続きます。

なかでも特に、回答者の年齢は投資傾向の違いをもたらす重要な要因となっています。美術品や骨董品の人気が高いのは比較的年齢の高い層で、若年層は自動車、ワイン、貴金属、宝飾品を好みます。また、より若い年齢層は資産総額に占める嗜好品資産の比率が総じて高い傾向にあります。これについて専門家は、若年層はリスクのより高い投資戦略の活用に積極的なことを一因にあげています。

リズィンは次のように指摘しています。「投資家の嗜好品資産の好みは国によって若干異なりますが、共通して言えるのは、単純なもの、馴染みのあるもの、評価できるものを投資対象に選ぶという動きが全般的に広く見られており、嗜好品投資の人気の高まりというのも、この流れに沿っているということです。とはいえ、嗜好品投資には保険や管理維持費といった追加コストを伴うケースがあることから、嗜好品資産を従来型資産クラスの代替資産として投資するには細心の注意を必要とします」。

授かり効果

またレポートは、富裕層が収集品の売却を検討するのは通常、評価額が相当大きく上昇してからであることを明らかにしています。日本の富裕層の場合、平均して価格が60%上昇したところで収集品の売却に前向きになります。これは世界の平均(62%)と同程度です。ワインや宝飾品などの嗜好品資産では、それぞれ67%の上昇、66%の上昇と、さらに一段と大きな値上がりを求めています。

この「授かり効果」‐すなわち、所有する資産を売却する際は、その資産を買い手が支払う価格よりも高い価格でなければ手放さないという現象は、富裕層の収集家に広く見受けられます。これに加え、ある種の嗜好品資産は値段が付けられないほど貴重とされる傾向があり、こうした資産はいかなる価格でも所有者は手放そうとしません。宝飾品、彫刻、骨董家具を所有する世界の回答者の半数弱(44%)は自身の収集品について値段が付けられない程貴重なものと考えています。

大きな影響力を持つ心理的要素

世界の富裕層と同様、日本の富裕層も投機目的だけで嗜好品資産を所有しているわけではありません。日本の富裕層の持つ嗜好品資産のうち、わずか15%のみが投機的な目的で所有されています。これに対し、この割合はアジア全体では36%、世界平均では19%となっています。

日本の富裕層が嗜好品資産を取得する主な動機は、こうした資産を味わう喜び(所有する嗜好品資産のうち53%)、嗜好品資産は一族や文化の一部という認識(23%)、資産を保護し後世に伝えるという使命感(21%)です。

リズィンは結論として次のように述べています。「バークレイズは行動ファイナンス分野のパイオニアとして、富裕層に関するあらゆる点を深く理解していると自負しています。独自の投資特性分析(ファイナンシャル・パーソナリティ・アセスメント)を通じ、投資判断を下す際の心理的側面を理解することの重要性をかねてより認識しています。今回のレポートは、意思決定プロセスには常に心理的要素と金銭的要素の両方があるという事実を改めて浮き彫りにしています。また嗜好品投資においては、心理的な動機の方が投資家が投資決定を行う際により大きな影響力を持つことをこの調査は示唆しています。投資哲学の一環として、バークレイズで行動ファイナンス理論と投資特性分析を融合している理由はここにあります。この行動ファイナンス理論と投資特性分析の融合により、バークレイズでは顧客の皆さまの効果的な投資判断と、高度にカスタマイズされた投資ポートフォリオの構築に向けてお役に立っています」。

バークレイズについて

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